建設業の会社破産の方法

文責:弁護士 上田佳孝

最終更新日:2022年12月29日

1 建設業の特徴

 建設業は、人工代、材料代、ガソリン代の高騰が業界を苦しめています。

 顧客から直接受注する会社では、受注した工事が結果的に赤字になることで、下請会社では、下請代金の支払遅延や下請代金自体が安価すぎることが、資金繰りを悪くする原因になっているケースが多いです。

 建設業の会社破産における特徴としては、①仕掛中の工事が残りがちであること②外注先と材料屋さんの未払先が多いこと③産業廃棄物が残って明渡しが困難なケースが多いことがあげられます。

2 建設業の会社破産の流れ

 借金の方が財産より多い場合、自力で廃業しても借金だけ残ってしまいますので、弁護士に相談する方がよいでしょう。

 まず、インターネット等で相談希望の弁護士を探し、弁護士と相談します。  

 初回面談では、決算書や通帳等を見て資金繰りを把握し、本当に会社破産の方針でよいか決めます。

 2回目以降の相談で、費用や資料の準備を進めつつ、廃業日の流れを決めます。

 弁護士は、廃業日以降に債権者向けに受任通知を送付し、裁判所に自己破産の申請をしますので、債権者対応は弁護士に任せることができます。

 どういう流れがよいかは、資金繰りや代表者のご意向、仕掛工事の進行によって異なりますので、弁護士とよく打ち合わせするのがよいでしょう。

 正式に破産手続が裁判所で始まると、破産管財人という第三者的立場の弁護士が、裁判所から選ばれます。

 破産管財人が、会社の財産をお金にかえて債権者に分けます。

 代表者は、裁判所や破産管財人事務所に何度か行き、おおむね1年程度で終わることが多いでしょう。

3 仕掛工事が極力減るようスケジュールを考える

 仕掛中の工事が急に止まると、元請や顧客に迷惑がかかります。

 ただ、事前に廃業を告げると外注先や資材の仕入先の属性によっては、押しかけられて取付騒ぎになることもあります。

 工事を断るか外注先に任せるか等検討しなければなりません。

 仕掛工事が残った場合、どこまで進めたのか元請と争いにならないよう、弁護士が現場の保全をすることもあります。

4 外注先や仕入先に財産を持っていかれないよう現場を保全する

 廃業が分かると、外注先や仕入先が使えそうな機械や資材だけを持って帰って自身の債権回収を行おうとする行動に出ることがあります。

 代表者自身が資材を隠したと疑われると、代表者の破産が認められないことがありますから、弁護士から連絡する以外に、代表者でも自宅や倉庫に施錠して保管する等無断で持ち出されない方法を検討します。

PageTop