飲食店の会社破産の仕方

文責:弁護士 上田佳孝

最終更新日:2022年12月23日

1 飲食店の会社破産の特徴

 飲食店は、令和2年に新型コロナウイルス感染症が始まったことで、最も悪影響を受けた業種の一つです。

 令和2年時点では「ゼロゼロ融資」とよばれる利率0の借入や、時短営業等の協力金で生き延びた店舗が多かったですが、長くは続かず、資金繰りが悪化しているご相談が多いです。

 飲食店の特徴として、事業所の内装工事をしたり、冷蔵庫や冷凍庫が残っていることで、原状回復や明渡しが困難なケースが多いこと、複数のアルバイト従業員がいるケースなど働き方がさまざまな方が多いこと等があげられます。

2 飲食店の会社破産の流れ

 借金の方が財産より多い場合、自力で廃業しても借金だけ残ってしまいますので、弁護士に相談する方がよいでしょう。

 まず、インターネット等で相談希望の弁護士を探し、弁護士と相談します。  

 初回面談では、決算書や通帳等を見て資金繰りを把握し、本当に会社破産の方針でよいか決めます。

 2回目以降の相談で、廃業日の流れを決めたり、費用や資料の準備を進めます。

 廃業日以降に弁護士から債権者向けに受任通知を送付し、裁判所に自己破産の申請をしますので、債権者や裁判所対応は基本的に弁護士が行います。

 ただ、どういう流れがよいかは、資金繰りや代表者のご意向、関係者の動向によって異なりますので、弁護士とよく打ち合わせするのがよいでしょう。

 正式に破産手続が裁判所で始まると、破産管財人という第三者的立場の弁護士が、裁判所から選ばれ、会社の財産が残っていればお金にかえて債権者に分けます。

 裁判所や破産管財人事務所に何度か行き、おおむね1年程度で終わることが多いでしょう。

3 店舗の管理会社等と相談して飲食店を希望する賃借人がいないか探る

 飲食店の特徴である店舗の明渡しの困難さは、飲食店を希望する賃借人が引き続き利用してくれれば大幅に負担が軽減できます。

 居抜きで利用したい次の賃借人を自ら探したり、店舗の管理会社に相談することも考えられます。

4 給料未払いは、未払賃金立替払制度の利用も検討する

 飲食店は、小規模店でもシフト制のアルバイト従業員の給料未払いが残りやすい業種です。

 給料未払いは、未払賃金立替払制度の利用で8割まで払われる可能性がありますので、その利用を検討します。

5 飲食店の破産の経験豊富な弁護士に相談する

 飲食店で廃業を検討している方は、飲食店の会社破産の経験豊富な弁護士に相談する方が、具体的なアドバイスが受けやすいですから、実際の経験をたずねてみるとよいでしょう。

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